非エンジニア向けプロンプト研修の設計 - 教材テンプレート付き
この記事で分かること
- 非エンジニア向け研修で陥りがちな失敗
- 効果的な研修プログラムの設計方法
- そのまま使える 研修教材テンプレート
- 研修後の定着を促す仕組み
1. なぜ「普通の研修」では失敗するのか
「ChatGPTの使い方研修をやったのに、誰も使っていない」
こんな話をよく聞きます。研修はやった。でも効果が出ない。なぜでしょうか?
よくある失敗パターン
| 失敗パターン | 何が起きるか |
|---|---|
| 機能説明に終始 | 「こんなことができます」で終わり、具体的な業務適用が分からない |
| ハンズオンなし | 見ているだけで自分で触らない → すぐ忘れる |
| 成功体験がない | 「便利そう」とは思うが、自分の業務で試すきっかけがない |
| フォローアップなし | 研修直後は盛り上がるが、1週間後には元通り |
成功する研修の3要素
- 自分の業務で使える という実感
- 研修中に成功体験 を得る
- 研修後も使い続ける仕組み がある
この3要素を意識して研修を設計しましょう。
2. 研修プログラムの設計
2.1 推奨構成(2時間版)
| 時間 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 0:00-0:15 | イントロダクション | 心理的ハードルを下げる |
| 0:15-0:30 | デモンストレーション | 「こんなことができる」を見せる |
| 0:30-1:00 | ハンズオン①(基本) | 自分で触って成功体験 |
| 1:00-1:10 | 休憩 | — |
| 1:10-1:40 | ハンズオン②(業務適用) | 自分の業務で使うイメージ |
| 1:40-1:55 | 質疑応答・ディスカッション | 疑問解消、アイデア共有 |
| 1:55-2:00 | クロージング | 次のアクションを明確に |
2.2 各パートの設計ポイント
イントロダクション(15分)
目的: 「AIは怖くない」「自分にも使える」と思ってもらう
やること:
- 講師の自己紹介(「私も最初は苦手でした」エピソード)
- 今日のゴール設定:「帰ったら1つ業務で試す」
- AIに対する不安の共有(匿名アンケート結果など)
やらないこと:
- 技術的な仕組みの説明(Transformerとは...)
- 過度な期待を煽る(「何でもできます!」)
デモンストレーション(15分)
目的: 「こんなことができるんだ」という驚きと興味
デモ例(営業部門向け):
- 議事録の要約(Before/After)
- メール文案の作成
- 提案書のアイデア出し
ポイント:
- 参加者の 実際の業務に近い例 を使う
- 失敗例も見せる(「こう聞くと上手くいかない」)
- 「すごい」より「これなら自分でもできそう」を狙う
ハンズオン①(30分)
目的: 自分で触って成功体験を得る
課題例:
【課題1】 以下の文章を3行に要約してください (用意した長文テキストを貼り付け)
【課題2】 以下の条件でメールの下書きを作成してください
項目 内容 宛先 取引先の山田様 目的 打ち合わせ日程の調整 候補日 来週月曜か火曜の午後
【課題3】 自分の好きなテーマで質問してみてください
進め方:
- 全員同じ課題で始める → 成功を確認
- 徐々に自由度を上げる
- つまずいている人にはスタッフがサポート
ハンズオン②(30分)
目的: 自分の業務で使うイメージを持つ
課題例:
【課題】 自分の業務で使えそうな場面を1つ選び、実際にプロンプトを書いて試してください。
活用シーン例:
- 定例会議の議事録を要約する
- お客様へのお礼メールを作成する
- 報告書の構成案を考えてもらう
- データの分析観点を相談する
進め方:
- 各自で考える時間(5分)
- 実際に試す時間(15分)
- 2-3人でシェア(10分)
ポイント: ここで「自分の業務で使えた」という体験が、研修後の継続利用につながります。
クロージング(5分)
目的: 次のアクションを明確にする
伝えること:
- 今日学んだことの振り返り
- 「来週までに1つ業務で使ってみる」という宿題
- 困ったときの相談先(Slack チャンネル、FAQ等)
- フォローアップ研修の案内
3. 研修教材テンプレート
3.1 スライド構成案
以下の構成でスライドを作成することをおすすめします。
1. タイトル
2. 今日のゴール
3. AIへの不安、ありますよね(共感)
4. でも、こんなことができます(デモ)
5. 基本の使い方(プロンプトの書き方)
6. 良いプロンプトの3要素
7. ハンズオン①の説明
8. ハンズオン②の説明
9. やってはいけないこと(セキュリティ)
10. 困ったときは
11. 今日のまとめ
12. 来週までの宿題
3.2 プロンプトの基本(教材用)
参加者に配布する資料として使えます。
良いプロンプトの3要素
| 要素 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| 役割 | AIにどんな立場で回答してほしいか | 「あなたは経験豊富な営業マネージャーです」 |
| 指示 | 何をしてほしいか、具体的に | 「以下の議事録を3つのポイントに要約してください」 |
| 条件 | 出力の形式や制約 | 「箇条書きで」「200字以内で」「初心者にも分かるように」 |
テンプレート
【役割】
あなたは〇〇の専門家です。
【指示】
以下の内容について、△△してください。
【条件】
・形式:□□
・長さ:XX文字程度
・トーン:〇〇向け
【入力】
(ここに処理したい内容を貼り付け)
使用例
悪い例:
議事録をまとめて
良い例:
あなたは優秀なビジネスアシスタントです。
以下の会議の議事録を読んで、
1. 決定事項
2. 次回までのタスク(担当者付き)
3. 未解決の論点
の3つに整理してください。
箇条書きで、各項目3つ以内にまとめてください。
【議事録】
(ここに議事録を貼り付け)
3.3 ハンズオン課題シート
参加者に配布する課題シートの例です。
課題1:基本操作(10分)
以下のプロンプトをコピーして、ChatGPT/Claude に入力してみましょう。
以下の文章を、小学生にも分かるように3行で説明してください。
「クラウドコンピューティングとは、インターネット経由でサーバー、
ストレージ、データベース、ネットワーキング、ソフトウェアなどの
コンピューティングサービスを提供することを指します。」
確認ポイント:
- 回答が表示された
- 3行程度にまとまっている
- 難しい言葉が言い換えられている
課題2:条件を変えてみる(10分)
課題1の回答を見て、以下を試してみましょう。
- 「ビジネスパーソン向けに」と条件を変える
- 「例え話を入れて」と追加する
- 「もっと短く」とリクエストする
気づいたことをメモ:
課題3:自分の業務で試す(15分)
あなたの業務で使えそうな場面を1つ選んでください。
使えそうな場面(例):
- メールの下書き作成
- 会議の議事録要約
- 報告書の構成案作成
- アイデア出し・ブレスト
- 調べものの整理
- その他:_______________
実際に試したプロンプト:
結果はどうでしたか?(良かった点・改善点):
4. 研修後の定着施策
研修だけでは定着しません。継続的に使ってもらう仕組みを用意しましょう。
4.1 Slack チャンネルの開設
#ai-tips-share — 「AIでこんなことやってみた」を気軽に共有するチャンネル
| 用途 | 内容 |
|---|---|
| 成功例の共有 | 「こうやったら上手くいった」を投稿 |
| 困りごと相談 | 「こんな時どうすれば?」を質問 |
| 新機能の紹介 | 管理者から最新情報を配信 |
4.2 週次Tips配信
毎週1つ、業務で使えるプロンプト例をメールやSlackで配信。
【今週のAI活用Tips】長いメールを要約する
以下のプロンプトを試してみてください:
「以下のメールスレッドを読んで、私が対応すべきことを3つ以内で教えてください。
【メール】 (ここにメールを貼り付け)」
これで、長いCCメールも効率的に処理できます!
4.3 フォローアップ研修(1ヶ月後)
目的: 実践してみての疑問解消、活用事例の共有
内容(1時間):
- 各自の活用事例発表(5分×3-4名)
- よくある質問への回答
- 応用テクニックの紹介
まとめ
非エンジニア向けプロンプト研修のポイントをおさらいします。
- 機能説明より「自分の業務で使える」実感 を重視
- 研修中に成功体験 を得られる設計にする
- テンプレートと課題シート で再現性を高める
- 研修後の定着施策 をセットで用意する
AIの全社展開は、ツール導入だけでは実現しません。「使える人」を増やす地道な教育が、組織全体の生産性向上につながります。
更新履歴
| 更新日 | 内容 |
|---|---|
| 2026-01-24 | 初版公開 |
ご注意: 本記事は2026年1月時点の情報に基づいています。
